ラウドネスとリミッター

投稿者: planet 投稿日:

・コンプレッサーリミッターについて

音楽ミックスでコンプレッサーとリミッターは非常に重要なツールになります。適切に使うことで、音楽のダイナミクスをコントロールし、音を均一なレベルに保ったり躍動感を与えることができます。以下に、コンプレッサーとリミッターの基本的な使い方を説明します。

コンプレッサーの使い方:

しきい値 (Threshold) の設定: まず、コンプレッサーのしきい値を設定します。これは、音量がどれだけ大きくなった時にコンプレッサーが働き始めるかを示すものです。しきい値は、音源の特性に合わせて調整する必要があります。

比率 (Ratio) の設定: 次に、コンプレッサーのレシオを設定します。レシオは、しきい値を超えた音量のうち、実際に圧縮される割合を示します。一般的な比率は2:1から8:1の範囲です。高い比率は強力な圧縮を意味し、低い比率は軽い圧縮となります。

アタックタイム (Attack Time) とリリースタイム (Release Time) の調整: アタックタイムは、音量がしきい値を超えた瞬間からコンプレッサーが圧縮を始めるまでの時間を示し、リリース時間は音量がしきい値以下になった後、圧縮が解除されるまでの時間を示します。アタックタイムとリリースタイムは音楽の要件に合わせて調整します。

アウトプットゲインの調整: コンプレッサーによって概ね音量が下がるため、アウトプットゲイン(出力ゲイン)を使って、圧縮前と圧縮後の音量を調整します。通常、LEDメーターやVUメーターを使って、ミックスを聞きながら適切なレベルを確認します。

リミッターの使い方:

しきい値 (Threshold) の設定: リミッターのしきい値は、音量がどれだけ大きくなった時にリミッターが働き始めるかを示します。通常、リミッターのしきい値はコンプレッサーのしきい値よりも高く設定され、音量のピークを制限します。

アウトプットゲインの調整: リミッターはしきい値を超える音量を制限するため、インプットゲインを適切に調整して、リミッターが働いていることを確認します。しきい値を超えると、リミッターが音量を制限し、歪みを防ぎます。

・クレストファクター(Crest Factor)について

クレストファクター(Crest Factor)は、音のダイナミクスを示す指標です。音のピークレベルと平均レベルとの差を表します。

具体的には、クレストファクターは以下のように計算されます:

クレストファクター=ピークレベル÷平均レベル

ピークレベルは、音の最も高い瞬間のレベルを示し、通常は短い瞬間の音のピークを表します。一方、平均レベルは、一定の時間内での音の平均的なレベルを示します。クレストファクターが高い場合、ピークレベルが平均レベルに比べて高いことを示し、音楽やオーディオ信号が非常にダイナミックであることを意味します。逆に、クレストファクターが低い場合、ピークと平均の差が少なく、音楽やオーディオ信号が比較的均一であることを示します。

クレストファクターは音楽制作や音響工学において重要な指標の一つであり、特に音楽制作においては、音楽のダイナミクスを評価し、ミキシングやマスタリングの際に適切な圧縮やリミッティングの設定を行うのに役立ちます。クレストファクターが適切に調整されることで、音楽の音量を一定に保ちつつ、音楽の表現力を損なわずにリミットできるようになります。

昨今、音楽を聴いている時に音楽のダイナミクスレベルの大小で次の音楽が小さすぎたり大きすぎたりすることがあります。そこで業界内でラウドネスレベルを揃えようとする基準を設定しました。

・ラウドネスレベルについて

LKFS(Loudness, K-weighted, Relative to Full Scale)は、音声やオーディオのレベルを測定するための単位で、特にブロードキャスト業界や音響工学で使用されます。LKFSは、音の大きさやラウドネスを表現し、異なる音声トラックや音楽の音量を均一にするのに役立ちます。

LKFSは、以下の主要な要素からなります:

Loudness (ラウドネス): LKFSの”Loudness”は音の感知される大きさを表します。これは人間の聴覚特性に基づいており、単に音のピークレベルを測定するのではなく、人間の聴覚に応じて調整された音の大きさを表現します。Loudnessは音声信号全体の平均的な音量を示す指標です。

K-weighted (K-重み付け): K-weightedは、高周波数帯域と低周波数帯域の重みづけを考慮に入れたものです。これは、人間の聴覚特性に基づいて音声信号を均等に評価するために使用されます。高周波数帯域と低周波数帯域の音量が異なる場合でも、K-weightedはそれを補正します。

Relative to Full Scale (フルスケールに対する相対的な音量): LKFSは、信号がデジタルオーディオのフルスケールレベル(通常は0 dBFS)に対してどれだけのラウドネスを持っているかを示します。0 dBFS以下のレベルを示します。”Loudness”や”K-weighted”により基準値を設定します。

LKFSは、音声のブロードキャスト、放送業界、映画制作などで使用され、音声の音量を均一にし、異なる音声トラック間で一貫性を持たせるのに役立ちます。LKFSはITU-R BS.1770やEbu R128などの規格に基づいて標準化されており、オーディオプロダクションの際に適切なラウドネスを確保するのに役立ちます。

カテゴリー: SoundScape

0件のコメント

コメントを残す

アバタープレースホルダー

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です